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Chicago San Diego
 

予防接種のスケジュールは非常に複雑であるため、当院はCDCのスケジュールを元に皆様がご自宅でいつでも必要なときに、インターネット上で予防接種のスケジュールを確認できるよう独自の予防接種予定確認システムを作成しましたので、是非ご利用ください。

予防接種予定確認システム

予防接種

現在このページは制作中です。ページが完成するまでは、シカゴ日本クリニック院長 大礒 明雄がまとめた『イリノイ州学校保健法による予防接種』を掲載しておきます。

イリノイ州学校保健法による予防接種

  日本から家族を連れてこられた方が最初に直面されるのが、子供を学校に入学させる際に必要な予防接種の数の多い事です。 日本では全ての接種を受けて渡米してきたのに、何でこんなに必要なのかと思われる方が少なくありません。

又、一度に幾種類もの接種を受けて安全なのかと、疑問及び不安感をもたれるご両親もおられる事でしょう。 接種の数が多ければ多い程、その医療費の請求を受けて“アメリカの医療費は高いと聞いてはいたが”と改めて驚く方もいらっしゃいます。 しかしこれらの予防接種を全て済ませなければ就学を拒否される場合もあるので、渡米後はなるべく早く接種を終える必要があります。 まず日本と米国の予防接種の比較をしながら検討してみましょう。

1)ポリオ(IPV:Polio Vaccine)
日本:1歳から2歳までに合計2回
米国:月齢4ヶ月までに2回、18ヶ月までに3回目、4歳以降に4回目の合計4回

  日本では2回だけの投与方式で1986年以来、自然型のポリオの発症は報告されておらず、当分の所この接種体系を変更する予定はありません。 しかし、1999年から2000年初めになって口径ポリオワクチンによりポリオ感染を起こした症例が発見されています。 また海外では毎年減少しつつあるとはいうものの、まだ多くの発展途上国では自然型のポリオが報告されています。 ゆえに世界保健機構(WHO)では、年長児へのポリオワクチン追加を薦めています。

  米国では1979年以来自然型のポリオは報告されていませんが、生ワクチン自体によるポリオ発症が毎年数例報告されています。 その為、子供さんには気の毒ですが、2000年の1月1日からは生ワクチンを止めて不活性型ポリオの筋肉注射を4本打つという形に変わりました。 しかし米国では新しいワクチンの開発が進んでおり、近い将来ポリオは他の予防注射に混合される予定です。 合計で4本とされていますが、必ずしも4本でなければならないのでは無く、接種を受けた年齢により少なくてもかまわないという例外もありますので接種法はかかり付けの小児科医に相談して決める必要があります。 しかし渡米が決まった時点でお子さんが4歳以上であれば日本で出国前に受けてこられると便利だと思われます。ここで特に注意しておかなければならないことは、ただ4本終わっていれば良いのではなく、必ず4本目は4歳の誕生日を過ぎてから受けるということです。 また3本目を4歳の誕生日以後に受けた場合は、それは4本目として数えますのでそれ以上の接種は必要としません。

  2004年になってから出てきた問題があります。 現時点で米国ではIPVに変更されてから4年ちかくなります。 これ以後はIPVもしくはOPVの1種類で4回の接種を終了していなくては接種完了として認められなくなります。 よってこれ以後日本からこられる4歳以上の子供は必ず日本出国前に日本で口径ポリオを受けてこなければ、米国到着後にあらためてIPVを4回やり直さなければならなくなります。 
【副作用】特にありません。

2)ジフテリア、破傷風、百日咳(DTP:Diphtheria, Tetanus, Purtussis)
日本:第一期は生後3−48ヶ月に3−8週間隔で3回
   第二期は一期終了後1年後に1回
   第三期は12歳に達する年に1回
米国:第一期は生後2ヶ月から2ヶ月ごとに3回
   第二期は一期終了後1年後に1回
   第三期は4歳から6歳の間に1回

  顕著な違いはアメリカの方が第一期と第三期の時期が日本より早いということだけで、米国でも日本と同じ様に1997年度より副作用の少ない無菌体百日咳ワクチン(DTaP)を使用した三種混合接種を第一期から接種出来るようになりました。  このDTaPの導入により、今まで多くみられた接種後24時間以内の発熱や接種局部の腫れ等という副作用が激減しました。 

  米国では長期予防医学の観点から7歳以降の小児には二種混合(Td)を10年ごとに接種していく様指導していますが、一旦学校システムを離れてしまった者に対する接種率はかなり低いのが現状です。
【副作用】接種後24時間以内に38度以上の発熱が起こる確率は1000人から1万人に1人位とされています。

3)麻疹、おたふくカゼ、風疹(MMR:Measles, Mumps,Rubella)
日本:麻疹は生後12−72ヶ月の間に1回
   おたふくカゼは任意接種(実質接種率約20%)
   風疹は12歳から15歳の女子に1回
米国:新三種混合のMMRを生後12−15ヶ月の間に1回
   4−6歳の間に2回目の接種

日本では1989年4月より任意で始まったMMR のワクチンでしたが、ワクチンによると考えられる接種後の無菌性髄膜炎の多発により、1993年4月に中止されました。その後は他のワクチンに対する不信感及び任意接種ということも手伝い、残念ながら日本の小児のおたふくカゼの罹患率は先進国社会の中ではもっとも高いものとなっています。 渡米されて当院に来院される小児の半分以上がおたふくカゼを罹患しているという事実には驚かされます。 米国ではおたふくカゼによる合併症(無菌性髄膜炎、難聴、睾丸炎、卵巣炎)を防ぐという意味も含めて、接種は義務化されています。

  米国のMMRも現在のMMR-II型と改良型を使用する様になってからほとんど副作用は無くなり、安心して接種に使用されています。 しかしこの新型MMRの導入後数年後の1990年に米国の大都市で麻疹が大流行し、医療関係者を驚かせるという事態が起こりました。 この大流行の原因追跡調査の結果、MMR-II型1回の接種では生涯免疫を得る率が低いという事が確認されました。 

   この麻疹大流行後は、2本目のMMR-IIを乳幼児に接種する事によりかなり高い生涯免疫抗体値を得られる事が実証され、また最近の研究では大学入学時に3本目を接種した場合もっと高い生涯免疫を得られるのではないかという意見も出ており、現に米国の数州では3本目の実施を考えています。
【副作用】接種後1〜2週間後に微熱(38度以下)が出ることが稀にあります。 この微熱が出た場合、麻疹状の発疹を伴うこともありますが特に治療を必要としません。

4)ヘモフィルスインフルエンザb菌(HIB:Haemophilus influenzae b)  
日本:接種していない
米国:月齢2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、と12−15ヶ月の4回

  名前にインフルエンザという言葉が入っている為によく冬に流行るウイルス性インフルエンザと誤解されがちですが、これは細菌性インフルエンザ菌で特に6歳以下の集団生活内の小児に脳膜炎や髄膜炎を起こしやすい病原菌です。1980年代に予防接種の開発および施行されるまでは全米の小児科病院の集中治療室には必ずといってよい程、この菌に侵された子供が月に一人は入院していた程、流行性の強い病気でした。 しかし接種開始後10年目の 
1997年には全米でたった1170人、そして1998年には1075人と罹患率は激減し、近い将来この病気はアメリカから撲滅されると予想されています。 この病気はアメリカだけのものでは無く日本も含め世界中で診られますが、フランスや日本の様に罹患率の低い国では予防接種を取り入れていない先進国が多い様です。 副作用は他の注射に比べて極端に少なく安全性の高い予防接種です。 この病気に罹りやすい5歳以下には義務づけされていますが、イリノイ学校保健法(6歳以上)では義務づけられていません。
【副作用】特に無し

5)B型肝炎(HB:Hepatitis B)
日本:B型肝炎e抗原陽性妊婦からの出生児に対して、出産直後、
   月齢1ヶ月と5ヶ月の合計3回
米国:抗原の有無に関わらず、出産直後、月齢1ヶ月と6ヶ月の3回
もしくは1本目、2本目(1本目から30日後で60日以内)、
3本目は1本目から6ヵ月後で1年以内

  B型肝炎は乳児期に感染すると大人が罹るのに比べて、かなりの高率でキャリア化(保菌者化)します。 それらの保菌者が成人した段階で慢性肝障害を起こす率は25%以上と高くなります。 慢性肝障害は後に肝硬変及び肝臓ガンと変化していく可能性があります。この慢性肝障害を持つ者が肝臓ガンを起こす確率は普通の人に比べて約300倍のリスクといわれています。 これらの病気による1997年度の全米での必要医療経費は500億ドルでした。 それ故、米国では予防医学的見知より1990年より新生児への接種を始めました。(注:それまでは米国でも1982年から日本と同じ様に、抗原を持った妊婦の出生児だけに接種を限っていました。)
 
1990年の接種を始めた当初は新生児に限られていましたが、近年米国病気コントロ−ルセンタ−(CDC)の介入により、接種を受けていない学童児にも義務づけされる様になりました。 副作用はほとんど無く接種後の微熱が稀にあります。
  因みにイリノイ州では1996年の州議会の法案成立による学校保健指導法で、5年生までに3本の接種証明がなければ登校出来なくなりました。 このワクチンは数ある予防接種の中でもっとも副作用の少ないものとされています。 ただ生涯免疫獲得率は証明されておらず、当分の間は接種後5−10年ごとに抗体検査をして追加接種(ブ−スタ−)の必要性の有無を調べることが重要でしょう。

■まとめ

   米国の製薬会社はワクチンの研究開発段階で、自社で開発しているワクチンが他社の既製のワクチンとの供用性及びその安全性を研究しながら開発を続けてきました。 現在認可されているワクチンの極まれな例外を除くと、ほとんどのワクチンは接種の部位さえ変えれば安全に同時接種することが出来ます。 始めに述べたように、“アメリカの小児科に行ったら5本もいっぺんに予防接種をさせられたが大丈夫でしょうか”という質問電話をもらう事がありますが、これはこちらでは問題視されることではありません。 

  最後になりましたが、もし米国での注射が不安でしょうがないというのであれば、可能な限り渡米される前に次の接種をされて来ることをお薦めします。

  1. B型肝炎
    小児の年齢にかかわらず、B型肝炎は3回の接種なので出国前6ヶ月には始めること。
  2. DTP
    4歳以上で7歳以下の子供で第二期までしか受けてない場合はDTPを1回接種。 
    7歳以上の子供はDTPの代わりにTdを接種。
  3. 麻疹
    MMRは日本には無いので、渡米後に接種してください。
  4. ポリオ
    ポリオワクチンに関しては、日本の医師になんと言われようが、4歳以上の学童児は可能な限り1本だけ飲んでから渡米することを強くお勧めします。 海外旅行予防接種センター等であれば、季節に関係なくワクチンを受けることが出来ます。
    (乳幼児の場合、2本目を受けてから1年経過している場合はもう1本受けてくること)
    たった一本の経口ポリオをたしてこなかった為に、新たに筋肉注射のポリオワクチンを4回やり直さなければならなくなる可能性があります。 アメリカには口径ポリオワクチンはありません。
  5. 水疱瘡
    イリノイ州では2003年から学校入学や幼稚園入園前の接種が義務化されました。時間に余裕があれば接種してこられると良いでしょう。 

日本クリニック院長 
米国小児科学院認定小児科専門医

大礒明雄