ホームページ
メールリスト 連絡先
日本クリニックについて サービス内容
Chicago San Diego
 
 

花粉症(2008年度・春)

 

春になるとくしゃみ、鼻がむず痒い、鼻が詰まる、目が痒い等の症状がよく聞かれますが、これらは全て花粉症の症状です。

今年はインフルエンザの流行が遅く、3月末にもインフルエンザで受診される方が少なくありませんでした。そして、今月からは花粉症の季節が始まります。

花粉症の基本的な症状はアレルギー性鼻炎(鼻水、鼻詰まり、くしゃみ)、それに伴うアレルギー性結膜炎(目の痒み、充血、涙目、乾燥眼)、空咳、胸の圧迫感、倦怠感、皮膚炎等があります。花粉症の原因物質は多数ありますが、春に多いのは花粉、夏は草類、秋にはブタ草などが代表的です。中には季節性ではなく一年中症状が続く場合もあります。これは動物の毛、家のほこりなどが原因となる事が多いようです。
日本ではスギ花粉が圧倒的に多く、お悩みの方も多いでしょう。シカゴに来てから花粉症の症状が出なくなったと言う患者さんにお会いすることがよくありますが、これはスギ花粉がこの地域では見られないからです。残念ながら2〜3年経つと同じような症状がまた現れる事が多いです。これは体がスギ花粉以外の物に反応し始めたということです。

花粉症は命に関る重病ではありませんが、日々鬱陶しく、治療は意外と面倒です。基本的に花粉症の治療は症状を抑える対処療法となり、抗ヒスタミン剤を使用します。これはアレルギー反応を抑える薬で、一通りの症状には効果があります。目、鼻、くしゃみと全て症状が揃っている方はこれを使うのがベストでしょう。市販薬として手に入る抗ヒスタミン剤は沢山種類があります。代表的なのはBenadryl, Chlor-trimeton 等です。これらは処方箋なしで購入でき値段も手頃ですが、かなり眠くなると言う厄介な副作用があり、毎日使うにはちょっと問題があるようです。また、以前処方箋が必要だったClaritin、Alavertが数年前に市販薬として手に入るようになりました。これは眠くならず効果も期待できますが、値段はその分高めです。その他にもnon-drowsy (眠くならない)と書いてある物があります。これは風邪薬などに含まれている血管収縮作用を持つ物質が含まれているものです。これらの薬は血圧を上げてしまう副作用があるので、高血圧の方は必ず医師の指示を得てから使うようにして下さい。また最近では、数ヶ月前にZyrtecが市販薬として手に入るようになりました。抗ヒスタミン剤としてはかなり効果があります。一部の方には眠くなると言う副作用がありますが、その他の抗ヒスタミン剤に比べてかなり軽く、現時点では最強の市販薬と言えるでしょう。
現在、処方薬として使われている代表的な抗ヒスタミン剤はClarinex、Allegraです。それぞれの薬の効果は個人差があるので、とり合えず一つ使ってみて、効き目があるようでしたらそれを使うといいでしょう。
その他の治療薬としてSingulairが最近は使用されています。この薬は以前は喘息の治療薬として使われていましたが、近年アレルギー性鼻炎にも効果があるという事が判明し、使用が増えています。この薬は抗ヒスタミン剤の様な頓服薬ではなく、花粉症の症状が出る少し前から飲み始め、毎日服用することで、全体的に花粉症の症状が軽くなります。また、Singularに従来のAllegra等の抗ヒスタミン剤を加える事によって更に効果が期待できます。

鼻がむず痒い

鼻がむず痒いという方や内服薬だけでは効果が不十分の方は、点鼻薬を単独で使用、または内服薬とともに使用するのが良いでしょう。点鼻薬は一般的にステロイド剤(副腎皮質ホルモン)が含まれており、鼻の粘膜に薬を吹きかける事によって粘膜の炎症を抑え、鼻水、鼻詰まりなどの症状を抑えます。副腎皮質ホルモンと聞くと、副作用を心配される方も少なくないと思います。副腎皮質ホルモンの長期内服は様々な副作用が証明されていますが、点鼻薬の場合は、薬が鼻粘膜に留まり体内には殆ど吸収されないため、長期使用も比較的安全と見られています。これらの点鼻薬は全て処方箋が必要となります。この薬は毎日決めて使用したほうが効果は見られます。
点鼻薬では一つ注意する点があります。市販の鼻詰まり用の点鼻薬は殆どの物が血管収縮作用を持ち、処方薬とは成分が異なります。これは鼻の粘膜に触れると血管を収縮し、数分のうちにむくみが取れ、鼻詰まりがすっきりとします。しかし時間が経つと、症状は元に戻ります。これらの薬は即効性があるので一時的に症状を改善するにはとてもありがたい物ですが、使い方を誤ると危険です。長期間服用すると鼻の血管の収縮が続き、鼻の粘膜の血流が悪くなり、表面が壊死してしまいます。これを薬物性鼻炎と呼んでいます。こうなってしまうと、花粉症よりも症状がひどくなり、慢性的な鼻詰まりの症状を持つ事になります。いずれは回復しますが、かなりの時間がかかります。「使用上の注意」に3日間以上は使用しないようにと明記されていますが、もう数ヶ月以上使っていると言う方も沢山いらっしゃいますので注意してください。

目の痒み
目の痒みには点眼薬が何種類かあります。1日2回位の使用で症状はある程度改善されます。コンタクトレンズを付けたままでは点眼できませんが、10分待てば問題ありませんので、そう不便ではないようです。目が痒いあまりに目をこすりすぎて目に傷をつけてしまったり、細菌に感染してしまうと言うケースもありますので注意してください。

以上が花粉症に使用されている治療法です。残念ながら、現時点では容易な根本療法は無いため、気長に付き合って自分にあう方法で治療していきましょう。新しい薬も年々出てきていますので、今後は更に症状が楽になる治療法も期待できます。