アメリカでは禁煙が盛んになり、シカゴ郊外では喫煙場所が非常に少なくなって来ています。今月は新しく認可された禁煙治療薬についてお話します。
●Chantixとは？
Chantixは2006年5月に認可された新型経口禁煙治療薬です。禁煙治療としては、ほぼ10年ぶりの新医療用医薬品であり、既存の治療薬よりも有意に優れた治療効果をもたらすことが予想されたため、FDAから優先審査の指定を受け、承認されました。
●煙草は何故やめるのが難しい？
煙草にはニコチンという物質が含まれています。ニコチン依存症は喫煙習慣の本質であり、多くの喫煙者にとって脱却するのが非常に困難な習慣です。喫煙者がタバコを吸うと、ニコチンが数秒以内に脳に到達します。ニコチンは、脳内の依存を引き起こす回路を活性化するニコチン受容体と結合し、タバコによる満足感を生み出します。しかし得られた満足感はその後急速に弱まり、又すぐに吸いたい欲求と離脱症状が現れます。
●煙草をやめるメリットは？
煙草をやめる事によって、味覚が良くなります。また、体力、持久力も良くなり、年間平均＄1500節約できる計算になります。
また、健康上、禁煙後12時間で体内の一酸化炭素のレベルが正常になります。2〜12週間で血流、肺機能が改善します。1年で心筋梗塞のリスクが約半分に減少、5年間で脳梗塞のリスクが減少、10年間で肺がんのリスクが減少、そして15年で心疾患のリスクが総合的に減少します。
●Chantixはどの様に作用するのですか？
Chantixの特徴は、ニコチン受容体に弱く作用するため、喫煙したい欲求とニコチンからの離脱症状を緩和します。同時に、Chantixを服用中にタバコを吸うと、Chantixがニコチン受容体を遮断するため、喫煙によって得られる満足感を抑えます。これらの作用によって、ニコチン依存を断ち切ることが期待されます。つまり、Chantixがニコチン受容体と結合する事によって、弱めの作用が保たれる為、煙草が欲しい欲求と離脱症状を押さえ、また煙草を吸ってもいつもの満足感も得られなくなるという事です。
●Chantixは今までの方法とどう違うのですか？
今まではニコチンパッチ、ガム、または煙草からの離脱によりおこるイライラ感を抑える内服薬の使用が主な治療法でした。直接ニコチン受容体を介して作用するのはChantixが初めてです。
●Chantixを開始する前に注意する点はありますか？
腎臓病の方は医師に申し出てください。また、妊娠中、授乳中の使用は現時点ではデータ不十分のため、使用は避けたほうが良いでしょう。また、使用中の薬は全て医師に報告してください。
●Chantixはどの様に服用すればいいですか？
まず、煙草を止める日にちを決めて下さい。
決めた日の1週間前からChantixを服用してください。この間は煙草を吸っていてかまいません。
Chantixは、食後にコップ１杯の水と一緒に服用してください。
治療期間は12週間ですが。場合によっては更に12週間服用することも可能です。
薬の服用量は１日0.5mgから開始し、除除に１日2mgまで増やしていきます。
●薬の副作用はありますか？
最も一般的な副作用は嘔吐、吐き気、睡眠障害、便秘、ガス が報告されています。
Chantixは現在日本では認可されていません。シカゴ郊外は現在非常に煙草を吸うのが難しい環境になってきています。これを機会に今年は禁煙を心掛けて下さい。
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