海外で生活していて心配なのが病気になったときです。病院に行くにしても日本とは勝手が違うアメリカではいろいろとわからない事があります。
こんな時、知っておきたいアメリカの医療システムです。
●医療システムの特徴●
アメリカでは日本で習慣になっている「外来」の意味が異なる。
病気になったら、まずドクターズ・オフィス(自分のファミリードクター)に連絡を取る。
そこは小さなスペースの診察室だけで入院施設はなく、特別な機器などはあまり置かれていない事が多い。
ドクターズ・オフィスはとりあえず全般的な診察を行う所である。アメリカでは日本と違って、総合病院(Hospital)にはエマージェンシールーム(ER)以外、医者の紹介なしで直接訪れることはほとんどない。
ドクターズ・オフィスで診察を受けたときに精密検査や入院、手術が必要だと判断されてはじめて医者の提携している総合病院を紹介される。
入院する場合でも日本に比べると比較的短期間で退院することが多い。手術を行った場合でも経過によっては次の日に帰宅できる場合もある。
もう一つの特徴は、専門分野が細かく分類されていることにある。病気によっては何人もの専門医に平行して診察を受ける必要があることもある。その場合、医療費の支払いも各処置ごとになり、数枚の請求書がそれぞれの医者や科から送られてくる。
●ファミリードクター●
アメリカにはファミリードクターを持つ習慣がある。
ファミリードクターとは家族で付き合いをしていくもので、子供の頃から病気になったらまず自分のファミリードクターに相談する。
ファミリードクターは主に内科医またはファミリープラクティショナー(家庭医、内科や小児科などの広い領域で診察を行う専門医)であることが多い。1人または2人ほど選んでおきたい。また子供がいる場合は小児科医も事前に選んでおきたい。
ファミリードクターを決めておくと便利なのが、緊急時や内科以外で問題が生じたときでも、相談して専門医を紹介してもらうことが出来るということだ。初めて診察してもらう医者でも自分のファミリードクターの紹介があると心強い。
ファミリードクターを決めるときのポイントは、自分の加入している医療保険の内容を確認して適したファミリードクターを選択するということである。また友達や知人の間で医者の評判を聞くのもよいだろう。
それから実際にその医者に会って直接話をしたり、その医者の診察を受けてみる。そのとき、その医者が州から認定された資格を持っているかどうかは勿論のこと、その医者の専門分野が何なのか、提携病院がどこなのか、緊急時に対応してくれるかどうかを明確にさせるのが良い。医者によっては自分のオフィスの他に病院に週何回か勤務している場合もあるので、その点も明確にしておいたほうが良い。日本人の場合、特に言葉の問題があるので、日本語の通じる医者または看護士がいるドクターズ・オフィスが安心だが、実際に対面して、話しづらい、質問しづらい、またこちらの質問をきちんと聞いてくれないといったようにコミュニケーションがしっくりいかないときは、他に数人の医者に会ってみるのがよいだろう。やはり、ファミリードクターとは家族でよい付き合いをしていくことになるので、日本語が通じるだけでなく、気軽に電話で質問できたり、納得した治療を受けられるような関係でありたい。
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