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血糖値 Blood Glucose Levelについて
 

糖尿病は、日本人の間で近年急激に増えている病気の一つですが、健康診断でも血糖値がやや高めで糖尿病予備軍と指摘される方が増えています。

自覚症状もなく健康診断で初めて血糖値の異常が発見された方は、実はとてもラッキーです。 なぜかと言うと、喉が渇く、尿量が増える、だるい、疲れやすい、やせる等の糖尿病の症状が出てから受診し、発見されるようでは糖尿病もかなり進んでいるからです。では、この血糖値がやや高めというイエローカードの持つ意味は何でしょうか。それは「このまま今と同じ生活を続けていたら、近い将来、本格的な糖尿病に進みますよ」という警告サインです。

つまりこのカードをもらったら「食べ過ぎや飲み過ぎではないか?」「間食が多くないか?」「運動は定期的にしているか」等、自分の食生活や生活習慣全般をじっくり見直し、改善する必要があります。
なかには「親父が糖尿病だから仕方ない」と最初から諦めている方もいます。確かに、中年以降に発病する糖尿病は、遺伝が関係しています。しかし、遺伝的素質だけでなく、肥満・過食・運動不足等の環境要因が加わり発病しますので、これらの環境要因を減らす事が大変重要です。

では、次になぜ糖尿病を予防しなければいけないのでしょうか。糖尿病とは血糖の調節に不可欠なインス
リンというホルモンの分泌が少なかったり、働きが十分でないために血糖が慢性的に高く、それがもとで種々な合併症を引き起こす病気です。

糖尿病の恐さは、長期間正常者の二倍も三倍もの余分な糖を含んだ甘い血液が全身をめぐっているために、体のあちこちに障害が及ぶ点です。 具体的には、まず高血糖に常にさらせれている血管、特にごく細い血管及び神経が冒されます。血管の障害は、目の網膜と腎臓に起きる物が代表的です。 目は、網膜に栄養を送っている血管が影響されるため網膜症が起こり視力低下や失明を招きます(成人の失明原因の第一位)。また、腎臓は、ごく細い血管が毛糸球状になった糸球体と呼ばれる器官が一個の腎臓に百万個も詰まっている、いわば血管の集まりです。血液はこの血管を通る間にろ過され尿のもとが作られますが、その血管が影響されるため、腎臓の働きが障害され腎症が起こります。腎症が進むと、最悪の場合透析生活を送ることになってしまいます。

一方、神経は知覚神経、運動神経、自律神経などが障害を受けるため様々な症状がみられます。例を挙げますと、手足等の麻痺感、痛み、また消化器の働きを調整する神経が影響されるため、胃の機能低下などがあります。

このように
1)網膜症
2)腎症
3)神経障害
を糖尿病の三大合併症と呼びます。その他、動脈硬化が進みやすい(それに伴い心筋梗塞や脳梗塞になる確率が高くなる)、足の血管の動脈硬化により足が腐ってしまう壊疽が起こりやすい等の合併症もあります。

一旦、これらの合併症が進行してしまうと、それから糖尿病の治療に真剣に取り組み始めても合併症が一人歩きし、とりかえしのつかない事になります。糖尿病を未然に防ぐ事は、まさに、これらの合併症を防ぐ事に他ありません。
血糖のわずかな異常が見つかった方は、今後、食事を含めたライフスタイルの改善に努め、正常に近づいて行くのか、あるいは警告を無視し糖尿病への道を歩んで行くのか、重要な分岐点に立っていることを忘れずに行動に移して下さい。

今後、読者の質問に答えるコラムを考えています。答えてほしい医療に関する質問が有りましたら、下記のE-Mailアドレスに、四方宛に送ってください。