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破傷風 予防接種を忘れずに について
 

アメリカで初めてドクターや病院の緊急室にかかる時、問診票を記入しますが、その中に破傷風予防接種の最終接種日を記入する欄が必ずあります。それもそのはず、アメリカはどの地域にすんでいても破傷風にかかる危険性があります。

破傷風は、傷口から侵入した破傷風菌の感染により起こる病気です。破傷風菌は、土壌中に広く分布し、嫌気性菌と呼ばれるように酸素のない所で好んで増殖します。この菌は土の中では厚い殻をかぶっていますが、一旦、傷口より皮膚の奥深くに入り込み、酸素のない好都合の環境に置かれると殻を脱ぎ捨て増殖し、強力な毒素を産生します。この毒素は、神経系統、特に運動神経を犯すため、わずかな刺激で筋肉が痙攣性の収縮を起こします。けいれんは、通常、口を開閉する筋肉から始まり(そのために開口困難になる)、その内全身に及びます。潜伏期は1〜2週間ですが、中には傷もしっかり治り、忘れた頃に発病する場合もあります。一般に破傷風は、泥に汚染された深い傷に発生しやすい病気です。つまり綺麗なナイフで浅く広く切った傷より、傷口は小さくても土で汚れた釘などを踏んだ深い刺し傷の方が危険です。

ところで、破傷風は、死亡率の高い重篤な病気ですが、幸いな事に予防接種があります。破傷風の予防接種は、子供の定期予防接種の1つになっています。特にアメリカでは必要な予防接種が済んでいなければ入学や登校を拒否される国柄ですので、子供に関しては破傷風にかかる心配はまず有りません。むしろ要注意なのは大人の方です。実際、アメリカの破傷風患者の大半は中年以降の人たちだそうです。大人の場合は、子供の頃必要な回数を受けた後、10年毎に追加接種を受けていれば安全です。

では、ここで破傷風の予防接種を最後にいつ受けたか考えてみましょう。もし、次に該当される場合は、なるべく早くホームドクターの所で受ける事をお勧めします。又接種日を必ず忘れないように書き留めておくことも大切です。

日本で子供の頃受けた事がない、あるいは不明な場合→基本となる3回の接種を受ける
子供の頃受けたが、ここ10年以内に一度も受けたことがない→追加接種を受ける

また、あやしい傷を受けた場合も、前途のa)、b)どちらかに該当される方は、破傷風にかかる可能性があります。直ちに受診して下さい。特に、傷口が泥で汚れたり、泥の付いたきたない木片や釘が刺さった場合は、(10年でなく)ここ5年以内に予防接種を受けてない方も受診の必要があります。もしホームドクターに連絡がつかない場合、お近くの病院の緊急室に駆け込みましょう。

以上のように、破傷風は発病してから治療するというより、発病を予防すべき病気です。必要であれば、ぜひ早めに受けて起きましょう。また、破傷風の予防では、予防接種以外に次の事も守りましょう。

傷口を水や石鹸でよく洗い綺麗にする
傷の中に異物が残っている場合は必ず取り除く。もし手におえなければ受診する。