現代社会での薬の種類と数は膨大なものがあります。
私たちが健康を守る上で薬が重要な役割を果たしていることは言うまでもありません。 しかし、薬は反対から読むとリスクになります。
つまり薬は有益な作用を持つ反面、リスク=副作用を招く恐れがあります。 では、薬の副作用から身を守るには、どうしたらよいのでしょうか。
(1)副作用も含め、服用する薬について正しい知識を持つ
日本から来られた方で、日本でもらっていた薬の名前やその作用を全く知らない方が多いのに驚かされます。 まして副作用など知るはずがありません。
薬との上手な付き合いが御自身の身体を守ることになりますので、まずは付き合う薬のことをよく知っておきましょう。
(2)決められた服用の指示を厳守すること
これは、副作用予防上、基本の基本です。 服用量を自己判断で増量したり、あるいは減量したり、更には中止したりすることは、せっかく薬を飲んでも、結局は薬の恩恵が得られないばかりでなく危険な副作用の心配もあります。
また病気の治療そのものも難しくします。 薬は指示通りに飲みましょう。
(3)別々の医師から薬をもらう場合、その旨をそれぞれの医師に知らせる
薬は個々に副作用があるばかりでなく、他の薬と併用して飲むことで思わぬ副作用が出ることがあります。 つまり、薬の併用により、一方の薬がもう一方の薬の作用を強めたり、逆に弱めたり何らかの影響を及ぼす場合があります。
例えば、心疾患に使用されるニトロ系の薬と性機能低下に使用されるバイアグラを同時服用した場合、血圧が急激に低下し、死亡例も多数あります。
このような予期せぬ身体への悪影響を予防するには、患者さんから医師への現在服用中の薬についての情報提供が重要です。
(4)過去に経験した薬による身体の異常を程度の差にかかわらず医師に伝える
薬には、類似したものが多くあり、ある薬で副作用が起きた場合、その類似薬でも同様な副作用が起きる可能性があります。
軽い副作用は、どうしても忘れがちになりますので、書き留めておくとよいでしょう。
(5)薬服用中に何か異常を感じたら直ちに医師に連絡する
これも当たり前のことですが、実際は自己判断で勝手に薬をやめそのまま治療を中断してしまう方がかなりおられます。 特に高血圧、糖尿病、痛風等の慢性疾患で薬物療法が欠かせない方の場合は、その薬が合わなければ、他の薬に変更し治療を継続する必要があります。
たとえささいな異常でも、必ず医師に伝えましょう。
(6)副作用の有無を調べる検査を定期的に受ける
薬の副作用は、早期に表れるものと後で表れるものとがあります。 肝障害、腎障害、血液障害などは後者です。 これらは、自覚症状に乏しく本人は気が付きにくい副作用です。
それを未然に防ぐには、血液検査等の必要な検査を
定期的に受けることが重要です。 慢性疾患の患者さんによっては、薬の処方だけ依頼し、診察や検査などほとんど受けない方がおられますが大変危険です。
(7)漢方薬にも注意する
“漢方薬は自然の物だから危険性、副作用は一切ない”、と思っている方が多いのには驚かされます。中では必要な処方薬を使わずに漢方薬を使っている方も少なくはないようです。実際は漢方薬も処方薬と同様、副作用、リスクは多数持っています。漢方薬に詳しい医師の下で使うのは構いませんが、乱用は危険です。また、漢方薬と処方薬との組合わせで問題が起きる事もありますので、漢方薬を使用している方はその事も必ず医師に伝えてください。
以上のように、薬の副作用を防ぐには、何も特別な注意はなく、ごく常識的な注意を守ることにつきます。 そして何よりも患者さんと医師とのコミュニケーションが大切です。
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